■放射性物質を99%以上吸着
2012年9月11日、山梨大医学部の志村浩己特任准教授のチームは新種の藻類「
バイノス」の驚くべき除染能力について発表した。
1リットルあたり
2万2000ベクレルの放射性物質を含む水に対し数グラムの「
バイノス」を投入することで、放射性物質濃度を
83ベクレルに軽減できるという実験データを公表した。
この「
バイノス」は既に福島県における除染作業で実験的に使用されており、来月には本格投入される予定となっている。
■ゼオライト以上の除染能力!
現在、福島第一原発の放射性汚染水の処理に使用されているのが「
ゼオライト」という鉱物である。
この「ゼオライト」は放射性物質の吸着用に広くつかわれているが、放射性ストロンチウムなどをほとんど吸着できないという問題が指摘されている。
また、放射性物質を吸着したゼオライトの処分をどうするのか?という問題も発生してくる。
この点、「
バイノス」は放射性ストロンチウムも吸着してしまう能力を持っている。
「
バイノス」は1グラムの量があれば、放射性セシウムは最大
3ギガベクレル、放射性ストロンチウムは
7ギガベクレル、放射性ヨウ素は
1.5テラベクレルを吸着可能だとしている。
更に、吸着後には乾燥、粉末化することで大きくその量を減らすことができる。これは、最終的な処分、保管場の確保にも有利な点であるといえるだろう。
おまけに、繁殖も容易で低コストであるという。
■しかし除染は結局「移汚」だ
ただし、その分、放射性物質吸着、乾燥、粉末化後の「
バイノス」は放射性物質の濃度はとんでもない高いものとなる可能性がある。
狭い場所に保管が可能ということは、
狭い場所に高濃度の放射性物質が詰め込まれるということだ。
保管には厳重な管理が必須となるだろう。
除染といっても、それは結局「
移染」なのである。何を使用しようがそれは同じことである。
【
naka773】
山梨大学 医学部・ 医学系大学院
http://www.med.yamanashi.ac.jp/