■不正クリックがビジネスとして成立するのか?
グーグルで「
不正クリック」とクリックしてみる。
「
クリック代行サービス 不正クリックシステム」という文言が簡単に見つかるのではないだろうか。
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Norio.NAKAYAMAその他にも「不正」とは書かれていないものの「クリック代行」を行っている企業が存在する。
クリックを代行することで行えることは色々ある。
多くは動画などのランキングの操作である。
そして、クリック報酬型のアフィリエイトサービスの収益を支援するための不正クリックを代行するという企業も存在する。
つまり、「
グーグルアドセンス」などのクリックすると収益が発生する
アフィリエイトの不正クリックを支援すると公然と宣伝しているサイトが存在するのだ。
同サイトでは絶対にASP側にバレないと断言しているの物が存在する。
逆に言えばバレたらまずい「不正」行為なのである。だから「
不正クリックシステム」と書いてあるのであろう。
当該のサイトの表示からすると2009年からビジネスを行っているようである。今年で4年になる計算だ。
グーグルでTOPに表示されるということは、少なくとも
グーグルアドセンス側には発覚していないのであろう。
このような「不正クリック」支援ビジネスは
詐欺行為にならないのであろうか?
■動画再生などの不正クリックは違法と言えないが……
「
不正クリック」が罪になるとすれば、詐欺罪(刑法246条)、業務妨害罪(同233条)が考えられる。
例えば、動画再生に関し、クリック数を操作するための不正クリックを行った場合は、上記の罪に該当するかは微妙であるといわれている。
これは、詐欺罪は以下の規定があり、動画の再生回数を増やすだけでは「
財物を交付させた」ことにならないからであるとしている。
1、人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
2、前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。(引用:詐欺罪 刑法246条)
業務妨害罪(同233条)に関しても、動画の再生数が上がることで、動画配信側に不利益や、動画を見たい側に不利益が発生するわけではない。
業務妨害罪も厳しいという見方となる。
しかし、アフィリエイトの「不正クリック」は「
人を欺いて財物を交付させた者」に該当するのではないだろうか?「
詐欺罪」に該当してもおかしくない。
広告配信側に意味のないクリックによる課金を発生させる。これは広告効果を下げることにもなり、「
業務妨害罪」にもなりえるのではないだろうか?
■警察の見解は?
この点について警察に見解を確認した。
千葉県警、
警視庁のサイバー犯罪窓口に電話で確認したが、
明確に詐欺罪になるとは断言できないとのことだ。
あくまでも、同窓口はネット犯罪の被害が発生した場合の窓口であり、法律に抵触するかどうかの判断は回答できないと回答した。
もし「
不正クリックシステム」を利用するならば、
自己責任でサービスをやってくれとのことである。
しかし――。
その結果、後で罪になるかどうかは
事前に教えてはくれないのである。
ちなみにアメリカではグーグルは不正クリック企業に対する提訴を行っている。
Google (NASDAQ:GOOG) は、初めてクリック詐欺を提訴した。相手はテキサス州に本拠を置く Web サイト運営会社 Auctions Expert International およびその所有者たちで、同社の『AdSense』プログラムで配信した広告を不正にクリックして広告主にとって無意味なトラフィックを生じさせ、Google に不正な対価を支払わせた、という訴えだ。
(引用:インターネットコム)
とにかく、警察では判断できないとのことで、
消費者庁に確認してほしいとのことであった。
■消費者庁の見解は?
そこで、今度は
消費者庁にこのようなビジネスが問題がないかどうか電話で確認してみた。
「
景品表示法」に基づきサイトの表示内容と提供するサービスが大きく食い違う場合を問題とするであり、このようなビジネスが違法であるかどうかを判断する立場にないとの回答を得た。
消費者庁では、契約した業務内容が守られているなら「
不正クリック」も問題ないとしか言いようがないのである。
この点に関しては、監督官庁と思われる経済産業省、経済産業局に確認した方がいいとのことである。
電話でお役所たらい回しだ。■関東経済産業局の見解は?
今度は関東経済産業局に電話確認をしてみた。
3度目の電話確認だ。
電話連絡先の一覧を確認してもネットビジネスを担当する部門が無い。
そもそも、ネット上のサービス提供の監督官庁が明確になっていないのではないかとの思いが強くなる。
消費経済課に確認してみたが、ここでも「分からない」ということである。
そもそもネットビジネス、アフィリエイトビジネスを監督する部門がどこにあるのか?
経済産業局でも分からないのである。
おそらく、今の日本には明確にこれを縄張りとしている官庁が存在しないのではないかと思われる。ネットビジネスの進化に行政が追い付かないのだろう――。
その結果、2009年から「
不正クリック支援」のサイトが公開され、ビジネスが今も放置されているということに合点がいくのだ。
■不正クリックはやめるべき
もし、「
不正クリック」サービスに魅力を感じたとしてもその利用は止めるべきだろう。
非常に危険である。監督官庁が不明確でも「
詐欺罪」、「
業務妨害罪」で告発される危険性はあるのだ。
海外では不正クリックにより、個人で損害賠償請求を受けている人も数多く存在する。
そもそも、不正クリックは広告システムの根幹を脅かすものである。
不正クリックが横行した結果の行き着く先はどこだろう?
クリック報酬型のアフィリエイトが完全に消失してまったらどうなるであろうか?
アフィリエイトビジネスの構造そのものが変わってしまう危険性がある。これはアフィリエイターにとっても大きなマイナスだ。
クリック報酬型のアドセンスをするならばあくまでも正攻法でクリック数を増やしていくべきであろう。
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naka773】
都道府県警察本部のサイバー犯罪相談窓口等一覧
http://www.npa.go.jp/cyber/soudan.htm消費者庁ホームページ
http://www.caa.go.jp/組織業務/電話/FAX | 関東経済産業局
http://www.kanto.meti.go.jp/annai/soshiki/index.html詐欺罪 刑法246条
http://www.stop-sagi.com/246kei.html弁護士ドットコム|無料法律相談・弁護士/法律事務所検索ポータル
http://www.bengo4.com/Google、広告掲載サイトをクリック詐欺で提訴 - インターネットコム
http://japan.internet.com/wmnews/20041125/12.html