■ネットビジネスの罠「情報商材」
「
情報商材」をめぐるトラブルが急増している。
国民生活センターでは先月17日に『
「絶対儲かる」「返金保証で安心」とうたう情報商材に注意!』とする発表を行った。
この「
情報商材」とはどのようなものだろうか?同センターで注意の対象としている「
情報商材」とは以下のようなものだ。
インターネットの通信販売を通じて売買される「○○円の収入が得られる方法」「必ずモテる方法」等の一般にはあまり知られていない情報や自分の経験談に基づく情報を指すこととする。
インターネットやっていれば嫌でも目に付く種類の情報である。そして、その相談件数は年々増加の傾向にある。
■「絶対にもうかる」ビジネスは無い
国民生活センターでは「
絶対」、「
必ず」、「
限定」、「
今だけ」など購入を急かすようなコピーの入った「情報商材」には注意をするように通達を出している。
しかし、それでも被害に遭う人は後を絶たないのであるが。
相談者の内訳をみると「給与所得者」が47.4%と半分近くなる。また年齢も30歳代、40歳代を合わせて約60%と、この世代が副業として収入を得ようとして騙されるというパターンが多いようである。
では、どのような事例が報告されているか?それを見てみよう。
【事例1】広告に一定の収入になると書かれているのに、全く収入が得られない
自宅でできる内職を探していたところ、以前から登録しているメールマガジンの中に「○○するだけで毎日1万円を稼ぐ方法」という広告を見つけた。
その広告に添付されていたURL をクリックするとさらに詳しい広告があり、読んでいくと、「業務を提供する」「業務手当ての支給を保障する(1500 円/1件)」「業務に伴う業務手当てが支給されなかった場合は、90 日間は無条件で情報商材の代金等を返却する」等と書かれていた。これならできると思い、クレジットカードで代金約3万円を支払って購入した。
後日、モール業者からメールが届き、PDF 形式の情報商材をダウンロードした。情報商材の中身は指示された企業のホームページ内の誤字脱字等の不備を指摘する仕事であった。
指示通りに行ったが、すでに他の人が指摘した箇所なので手当ては出せないと言われ、報酬はもらえなかった。
広告には必ず報酬があるように書かれていたので納得できない。90日の返金保証があると記載があるので、返金してほしい。また、カードの請求明細を確認したところ、全く知らない会社からの請求になっていた。
(相談受付:2009 年12 月、奈良県、40 歳代、男性、給与生活者)
ホームページの誤字脱字を指摘する仕事を請け負ったら、その誤字脱字はすでに他の人が指摘しているので金は払わないと言われたケースだ。
【事例2】情報商材に指示されている作業を行うことは現実的に不可能であった
年金で生活しており、生活が苦しい。インターネットで内職を探していたところ、「ある公的機関に行き、指示された作業をするだけで100%、確実、絶対に収入が得られる」という情報商材を見つけた。返金保証があり、作業がうまくいかないときは返金されると思い、購入代金約4万円を振り込んだ。
後日、送付されてきた情報商材は「地方裁判所に行き、動産物の競売で落札し、その動産をネットオークションで転売することで、利益を得る」という内容だった。約2ヶ月間裁判所に通い、競売物件を探したが動産物の競売はなく、まったく収入にならなかった。裁判所に問い合わせると「動産物の競売は今年に入ってから一度も行われていない」と言われた。
実現不可能な内容だとわかり、販売者に返金を求めたが「返金保証の条件を満たしていないから返金できない。あなたのやり方が悪い」の一点張りで、全く対応してくれない。
支払った代金を返金してほしい。
(相談受付:2009 年6月、佐賀県、70 歳代、男性、無職)
これは、裁判所の競売物件から動産物を落札しネットオークションにかけて、利益を得るという「情報商材」を購入した例になる。今の70歳はネットで儲けようという発想をするのである。昔の70歳とは違う。
【事例4】社会通念上問題があるようなことを促す情報であった
インターネットで内職を探していたところ、「簡単なクリック作業等だけで高額な収入を得られる」という広告を見つけた。家でもできるならと思い、クレジットカードで商材代金1万円を支払って購入した。
すぐにモール業者からメールが届いたので、PDF 形式の情報商材をダウンロードして中身を確認したところ、「出会い系サイトに個人情報を登録し、他のサイト等で相手を募り、その相手を出会い系サイトに誘導する」という内容であった。広告の記載と内容が大きく異なる問題のある内容だと思う。返金してほしい。
(相談受付:2009 年11 月、神奈川県、40 歳代、女性、家事従事者)
これは、今でもよくあるものだ。アフィリエイト連動で出会い系サイトに人を勧誘して儲けようという「情報商材」は定番といえるだろう。
■情報商材に関する問題
情報商材に関しては、各種の法律に抵触する恐れがあるものが多いようだ。
国民生活センターでは、「消費者契約法」、「特定商取引に関する法律」、「不当景品類及び不当表示防止法」、「割賦販売法」などを根拠とした問題点を挙げている。
そして「
情報商材」に関しては以下の注意を行っている。
(1)情報商材の購入は、広告に注意して慎重に検討する
(2)返金保証があるからと言って、安易に契約しない
(3)購入する前に販売者の連絡先等を確認する
(4)情報商材をカードで購入した場合でトラブルが生じた際は、カード会社に事情を説明し協力を求める
(5)最寄りの消費生活センターに相談する
「
情報商材」の全てが悪いという訳ではないが、非常に危険の大きいものであることは承知の上慎重に利用する方がいいだろう。できるならば、関わらない方が無難である。
【
naka773】

「絶対儲かる」「返金保証で安心」とうたう情報商材に注意!
-情報商材モール業者を介して購入した事例から見る問題点-
http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20100317_2.pdf