■野田首相、政治的に判断して稼働していく
2012年6月16日、政府は「原子力発電所に関する四大臣会合」にて
大飯原発3、4号機の再起動を決定する発表を行った。
自治体の理解が得られたことにより、
大飯原発3、4号機再稼働を政府決定とすることを発表したものである。
野田総理は「
安全」監視体制の強化、新たな規制機関である
原子力規制委員会の設置法案が成立したとこなどを伝え、「安全性」に関しては再三強調を行っている。
しかし、大飯原発再稼働の際に問題となったのは「
安全性」だけではなく、その「
必要性」であったはずだ。
安定した電力供給のために、どうしても
大飯原発再稼働が必要であるというのが、政府の説明であった。
強固に再稼働を反対していた橋下大阪市長が折れたもの「
必要性」の問題を突き崩せなかったためである。
安全第一はもちろん正論だ。しかしそこで考慮するのは原発事故のリスクだけでない。停電リスクも考慮しなければならない。大飯の再稼働に反対し安全第一と言う人で、停電リスクについて語る人は誰もいない。原発事故を回避することだけが安全第一の中身。
「安全性」と「必要性」の両立――。少なくともこれが、政府・民主党が示してきた原発再稼働に向けた条件であったはずである。
4月13日:原子力発電所に関する四大臣会合後 枝野経済産業大臣会見前々回の会合後に申し上げたかと思いますが、たとえ安全であったとしても、必要性が認められないならば、再起動の判断に至るものではありません。そして、本日大飯3、4号機の安全性について最終的に確認したため、続いて再起動の必要性について検証を行いました。
■残る原発を再稼働させる必要性は?
4月13日には「たとえ安全であったとしても、必要性が認められないならば、再起動の判断に至るものではありません」と枝野経済産業大臣は会見で明言しており、きちんとその発言内容も記録されている。
しかし、ここにきて「
必要性」へのチェックは必須から一歩後退しているのである。
16日、枝野経済産業大臣は、
原子力規制委員会が設置された後に「
必要性」チェックを残すかどうかは「
検討中」であるとして明言を避けている。
同原発の稼働は例外であり、これによってなし崩しに残る原発の再稼働はしないというのが政府の言い分だ。
しかし、
原子力規制委員会が設置された場合、同委員会の判断によって、次々と原発は再稼働に向かう可能性もある。
そこでは大飯原発再稼働で議論された「
必要性」は検討されない可能性もあるのである。
■安全性のチェックは当然!電力行政として必要性は?
そもそも安全性のチェックは当然である。しかし、その安全性のチェックすら
原子力規制委員会ではどうなるか分からない。この委員会の構成メンバーにどのような人材が配されるかは現段階では不明だ。
原発の安全性の問題を指摘する14日放送の「そもそも総研」「安全性」のハードルは
原子力規制委員会の采配次第でどうにでもなる。この人材を決定するのは政府である。
早速、
日本経済新聞では、「
脱原発派」をメンバーに入れることに対する反対の論陣を張っている。
そのためには委員の人選がカギを握る。与野党内の一部には脱原発派を加えるべきだとの声があるが、それはおかしい。そもそも規制委は実務機関であり、原子力政策を決める組織ではないからだ。
原子力政策を決める機関ではない。つまり「
必要性」を決める機関ではないということを主張しているのである。
電力供給に関する「必要性」の問題は忘れ去られようとしている。
今後、なし崩しに50基の原発再稼働が進んでいくのであろうか?
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naka773】
原子力発電所に関する四大臣会合~大飯原発3、4号機の再起動を決定~平成24年6月16日(ハイライト) - 政府インターネットテレビ
http://nettv.gov-online.go.jp/prg/prg6312.html橋下徹 (t_ishin)さんはTwitterを使っています
https://twitter.com/t_ishin原子力発電所に関する四大臣会合後 枝野経済産業大臣会見 | 首相官邸ホームページ
http://www.kantei.go.jp/jp/headline/genshiryoku2.html原子力規制委に危機対応ができる人材を:日本経済新聞
http://www.nikkei.com/article