■企業倫理感が無いとしか思えない
2012年7月15日、仙台で開催された将来のエネルギー政策について国民の意見を聞く政府の
意見聴取会に、東北電力の社員が含まれていたことが判明した。
そして翌日の名古屋で開催された聴取会でも中部電力社員が紛れ込むという同様の事態が発生した。
これを受け、18日に経済産業省は電力会社社員の意見聴取会参加を禁止する方針を決定。
電力会社には組織的に社員を応募させたり、意見表明をさせるようなことをしないよう行政指導を行った。
■原発依存度0という結論を避けるためか?
聴取会は、将来の
原発依存度について、
0%、15%、20~25%という計画を選択肢としている。
そして、それぞれの選択肢を支持する参加者3人、合計9人が発言するというものだ。
電力会社社員の意見はいずれも「
20~25%」である。
■何故、電力会社社員が発言できたのか?
今回の件に関し、政府は電力会社の社員が参加し発言者として選ばれたことにに遺憾の意を表している。
この聴衆会は、全国11都市で8月上旬まで実施。意見表明は参加者の中から希望者する人に対し無作為、抽選で選んでいるという。
政府は電力会社にコンプライアンスを求めるように指導している。これは当然だろう。
しかし、
無作為、抽選で選んだ発言者に電力会社の人間が偶然2回も選ばれたのだろうか?
この聴衆会は政府によって行われたものなのである。
■政府もグルのやらせか?
政府が聴取会で電力会社を排除する姿勢を見せたことに対する批判の声もある。
様々な立場の人間によって話し合いをすべきであるという意見だ。確かに一理あるような気もする。
しかし、「
電力会社」というこの聴取会の意見の結果が会社の利益に関わる立場の組織の人間が参加するのは問題ありだ。
普通の市場調査であっても、広告代理店の人間、その市場に関わる企業に勤務する人は参加資格がないのは普通なのである。
それは、純粋な意見ではなく、企業としての最も利益のある結論とした意見が出てくるに決まっているからである。
そして、分からないのは
無作為、抽選で選ばれたとする発言者に電力会社の人間が選ばれたという事実だ。
政府は電力会社の
コンプライアンス姿勢を責めているが、結局裏ではグルなのではないかという疑念を生む結果となったのではないだろうか。
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naka773】
エネルギー・環境の選択肢に関する意見聴取会等に係る要請(METI/経済産業省)
http://www.meti.go.jp/press/2012/07/20120718006