■毎時1.59ミリシーベルトは何故隠されたか?
福島第一原発1号機が水素爆発した直前、福島県双葉町で毎時1.59ミリシーベルトが計測された。
この数値が発表されたのは先月21日である。
なぜ毎時1.59ミリシーベルトという国の1年間の被ばく基準値を1時間で超えるような高放射線量の発表が1年半も隠されたのか?
10月3日の中日新聞では、
京都大原子炉実験所の
小出裕章助教の発言を掲載した。
■その理由は本当に人で不足だったのか?
発表が遅れた公的な理由は、事故による現場の忙しさからの解析作業が遅れたためであると説明されている。
しかし、
小出裕章助教はこの説明に対し疑問の言葉を投げかけている。
「放射線量の観測は人命を守るためにやっている。過去の観測結果はすぐに公開するのが筋で、福島県はあまりに無能だ。国が都合の悪い情報を隠そうと県に圧力をかけた可能性も否定しきれない」
「福島原発事故後の東電や行政の対応を振り返れば、情報統制のオンパレードだった。本当にひどい国だと思う」
このような情報統制、都合の悪い事実が隠されるという指摘に関し、日本の組織は太平洋戦争の時代から変化がないという思いを持つ。
■都合の悪い情報は封じていく
この国には「都合の悪い情報」を組織の中で握りつぶすという悪しき伝統がある。
大本営参謀の情報戦記―情報なき国家の悲劇image from
Amazon一部のエリートが情報を独占し、その判断を行うことの「悲劇」が描かれているのが「大本営参謀の情報戦記―情報なき国家の悲劇」である。
ここでは「台湾沖航空戦」の戦果に疑問をもった著者の情報が陸軍作戦課の中枢で握りつぶされた。
消えたヤルタ密約緊急電: 情報士官・小野寺信の孤独な戦いimage from
Amazon「消えたヤルタ密約緊急電: 情報士官・小野寺信の孤独な戦い」では終戦工作にソ連を頼る中、ヤルタ会談でソ連の対日参戦情報を入手した情報参謀の情報が握りつぶされた過程が描かれている。
他にも、真実に近い情報が、ことごとく「見たくない情報」、「都合の悪い情報」として検討されることなく切り捨てられる様子が描かれている。
現代の国、官僚組織、大企業が、その体質を引きずっていることは1年半の間に嫌という程みてきたのである。
小出裕章助教は日本という国が酷いと断言している。日本という国が酷いのか、「国」というシステムが等しくそのように酷いものとなるのかは、一考の余地があるだろう。
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naka773】
つなごう医療 中日メディカルサイト | 福島・双葉町の高線量 1年半後に発表のナゾ
http://iryou.chunichi.co.jp/article/detail/