集団食中毒で男児が死亡
平成23年5月2日、富山県は、「腸管出血性大腸菌による食中毒事案について」と題した報道発表を行いました。
(画像は、イメージ)
この報道発表によると、平成23年5月2日現在、焼肉酒家えびす砺波店および高岡駅南店を利用した患者は、合計で55人(内1人が死亡)であり、5月2日までに36人が、腸管出血性大腸菌感染症と診断されたと発表しています。
東京都は、ユッケ(牛の生肉)の危険性を啓発中
東京都福祉保健局が作成している食品安全の関する情報を啓発しているサイト「食品衛生の窓(東京都の食品安全情報サイト)」内には、「ちょっと待って!お肉の生食」と題した項目が設けられています。
そして、このサイト内に掲載されている事業者向けのリーフレット「正しく知ろう!生肉の取扱い」には、以下の文言が掲載されています。
現状では、牛・鶏・豚の「生食用」食肉は流通していません
生食用食肉として提供できるのは、平成10年の厚生労働省通知「生食用食肉等の安全性確保について」で示された指導基準に基づいて処理された牛と馬の肉・ レバーのみです。平成20年度に国内のと畜場から生食用としての出荷実績があるのは馬の肉・レバーだけでした。
輸入牛肉の一部を除き、牛・鶏・豚の肉や内臓肉は生食用食肉としての出荷実績はなく、生や半生で提供すると食中毒が起こる可能性があります。
食中毒を起こした店が負うべき責任は多岐にわたり、営業停止の行政処分を受けたり、被害者への賠償責任等が生じます。生食用食肉以外の肉を生で提供しないでください。(東京都福祉保健局ホームページ、食品衛生の窓サイト内掲載の事業者向けリーフレット「正しく知ろう!生肉の取扱い」から引用)
つまり、これを見ると、現状において食中毒の危険が排除できないので、飲食店において牛のユッケ(生肉)は、提供できないことがわかります。
なお、今回の集団食中毒事件を起こした「焼肉酒家えびす」のホームページ内にも食品衛生の窓(東京都の食品安全情報サイト)の「ちょっと待って!お肉の生食」のリンク先を掲載しています(平成23年5月3日現在)。
今後、食品事業者が注目すべき情報とは
そして、東京都知事の附属機関として設置されている東京都食品安全情報評価委員会では、「食肉の生食による食中毒防止のための普及啓発」の効果測定に関する議論が行われており、今後の議論の行方も注目されます。
今後、食品関係の会社設立を目指す人などにとっては、厚生労働省や東京都などの行政が発する食品安全情報には特に注意を払うが必要といえるでしょう。

ちょっと待って!お肉の生食(食品衛生の窓サイト内)
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shokuhin/anzen_info/nama/index.html食品安全情報評価委員会(食品衛生の窓サイト内)
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shokuhin/hyouka/index.html食品衛生の窓 東京都の食品安全情報サイト(東京都福祉保健局)
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shokuhin/index.html焼肉酒家えびす
http://www.ebisu-net.com/index01.html腸管出血性大腸菌による食中毒事案について(平成23年5月2日、富山県News Release、PDFファイル)
http://www.pref.toyama.jp/cms_press/2011/20110502/00006734.pdf厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/