MiFID II/CAT完全準拠、AIの判断根拠を再現可能にするRegTechオープン標準。プロップファーム業界の健全化と透明性向上を推進。
『ClearTrace Protocol (CTP) v1.0』を公開
AI MQL合同会社(本社:東京都品川区、代表:[代表者名])は、2025年11月22日、アルゴリズム取引およびAI駆動型取引システムにおける意思決定プロセスと実行結果を、改ざん不可能かつ検証可能な形式で記録する世界標準規格『ClearTrace Protocol (CTP) v1.0』を策定し、オープン標準として公開いたしました。
CTPは、金融取引の透明性確保とAIの説明責任(Explainability)という世界的な要請に応えるために開発された、規制当局対応(RegTech)の監査証跡プロトコルです。
ClearTrace Protocol (CTP) v1.0 仕様書は当プレスリリースに添付済みです。
■ 背景:金融市場における透明性とAIの説明責任への高まる要請
近年、金融市場では取引の高速化・自動化が進み、AIや高度なアルゴリズムが取引戦略の中核を担っています。一方で、その意思決定プロセスはブラックボックス化しやすく、「なぜその取引が行われたのか」を事後的に検証・説明することが困難であるという課題が生じています。
欧州のMiFID II(第2次金融商品市場指令)や米国のCAT(Consolidated Audit Trail)といった国際的な規制強化は、取引の完全なライフサイクル追跡とアルゴリズムの識別を義務付けています。
また、急速に拡大するプロップファーム(自己勘定取引会社)業界においても、不正なコピー取引の防止や、トレーダーへの公平な利益配分を証明するための、信頼できる証跡記録が不可欠となっています。
ClearTrace Protocol (CTP)は、これらの業界全体の課題を解決し、次世代の金融市場における信頼と透明性の基盤を構築するために誕生しました。
■ ClearTrace Protocol (CTP) v1.0 の概要と特徴
CTPは、取引シグナルの生成から注文、約定、決済に至るまでの一連のイベントを、因果関係を持つ「状態遷移」としてナノ秒単位の精度で詳細に記録するプロトコルです。特定のベンダーに依存しないオープンな規格として、以下の革新的な特徴を備えています。
1. AI取引の完全な説明責任(CTP-AI拡張)
AIの判断根拠を事後的に完全に再現可能にします。使用されたAIモデルのバージョン(ハッシュ値)だけでなく、推論時の入力データ(特徴量)と、どの特徴量が判断に寄与したか(SHAP/LIME値等の説明可能性指標)を記録することで、ブラックボックス問題を解消します。
2. 改ざん不可能性と国際規制への完全準拠(RegTech標準)
ハッシュチェーンとMerkle Tree技術により、記録された証跡の改ざんを数学的に防止し、高い証拠能力を保証します。
MiFID II / CAT対応
ナノ秒精度のタイムスタンプ(PTPv2/NTPによる高精度時刻同期を要件化)と、拒否・取消を含む完全な注文ライフサイクル追跡を実現します。
GDPR対応(Crypto-shredding)
監査ログの完全性を維持したまま、個人情報保護規制(GDPRの「忘れられる権利」等)に対応する先進的な「Crypto-shredding」技術を採用。ユーザー固有の暗号鍵を破棄することで、個人情報のみを復元不可能にします。
3. HFT(高頻度取引)対応の高性能アーキテクチャ
取引執行のクリティカルパスに影響を与えない「Zero-Copy/サイドカー」アーキテクチャと、高速通信に適したSimple Binary Encoding (SBE)形式をサポート。最も遅延に敏感なHFT環境でも、パフォーマンスを犠牲にすることなく導入可能です。
4. 不正取引・コピー取引の検知(CTP-DETECT拡張)
プロップファーム業界特有の課題に対応するため、デバイス情報、注文の類似度スコア(OrderCloneScore)、発注時間差(SyncDelta)などを記録。疑わしいコピー取引やグループ取引、見せ玉(Spoofing)等の市場不正行為の証拠を保全します。
■ ガバナンス体制:中立的な標準化委員会による維持管理
ClearTrace Protocol (CTP)は、クリエイティブ・コモンズ・ライセンス(CC BY 4.0)の下で公開され、ロイヤリティフリーで実装可能です。
本規格は、その中立性と透明性を永続的に担保するため、仕様の維持・管理を担う専門組織「Aegis ClearTrace Standards Committee (ACSC)」(設立準備中)によって管理される予定です。
ACSCは、金融機関、プロップファーム、規制専門家、技術者など、多様なステークホルダーの参加を募り、GitHub上でのRequest for Comments (RFC) プロセスを通じて、オープンかつ民主的に仕様の改善・改訂を行ってまいります。
■Github・プロトコルについて
Aegis ClearTrace Standards Committee(ACSC)は、AI・アルゴリズム取引の意思決定から約定までを、改ざん不可能かつ検証可能な形式で記録する世界初のオープン監査標準「ClearTrace Protocol (CTP) v1.0」 を公開しました。
CTPは、MiFID II・FCA・FINRA・SFC など国際的な金融監督基準に対応する監査証跡フォーマットであり、AIアルゴリズムのブラックボックス化が進む市場に透明性を提供します。
GitHub(仕様書公開)
English:
https://github.com/clear-trace/ctp-spec
Japanese:
https://github.com/clear-trace/ctp-spec
■ 今後の展開
AI MQL合同会社は、CTPの普及と実装を推進するため、現在設立準備中の「Aegis ClearTrace株式会社」(事業主体)を通じて、CTPログの解析・監査エンジン(Aegis Judge Engine)や、CTP準拠を証明する認証サービス等の提供を予定しております。
私たちは、ClearTrace Protocolが金融業界の新たな標準として広く採用され、より公正で透明性の高い市場の実現に貢献することを確信しております。各業界の皆様のCTP採用およびACSCへのご参加を心よりお待ちしております。
AI MQL合同会社について
AI MQL合同会社は、金融分野におけるAIおよびアルゴリズム技術の研究開発に特化したテクノロジー企業です。※ 現在設立準備中の「Aegis ClearTrace株式会社」(事業主体)に買収される予定。高度なデータ分析とエンジニアリング力を駆使し、金融市場の効率化と透明性向上に貢献するソリューションの開発および標準規格の策定に取り組んでいます。
会社名:AI MQL合同会社
所在地:東京都港区
代表者:上村十勝
URL:
https://ai-mql.com/
提供元:
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