日常は研究室になりうるのか。仕事の中から生まれた意識研究、国際学術誌掲載を経て所有感と自由意志の実証研究へ
2026年6月21日 No Existe
愛知県常滑市の独立研究者・粟田正志は、意識とクオリアの成立条件を探究する研究を続け、2026年に国際学術誌AIP Advancesへ論文を発表した。本研究では、体験がどのように「私のもの」になるのかを説明する媒介構造「Beral Layer(ベラル層)」と、クオリア生成の三段階モデルを提案している。現在は理論研究に加え、自由意志研究へと取り組みを拡大している。特に、人間が事前に形成する「構え(Kamae)」が準備電位や主体感に与える影響に着目し、脳波計測を用いた実験プロトコルを公開した。今後は実験研究やクラウドファンディングの可能性を検討するとともに、本テーマに関心を持つ研究者や技術者との共同研究を模索している。
■ なぜ体験は「私のもの」になるのか
私たちは日々の経験を当然のように「自分のもの」として感じている。しかし、その所有感(ownership)はどの段階で、どのようにして成立するのか。これは現象学や意識研究において十分に解明されていない問いである。
粟田正志は、この所有感の成立条件を理論と実験の両面から探究する独立研究者として活動している。自我や主体性を「原因」ではなく「結果」として捉え直す視点から研究を進め、2026年4月、国際学術誌AIP Advancesに論文「Beyond foundational consciousness models: The Beral layer as a mediating structure and an irreversible three-stage model of qualia generation」(DOI: 10.1063/5.0325944)を発表した。
■ 研究の核心:Beral Layerと三段階モデル
本論文では、潜在的な可能性(潜在層)と現象的経験(顕在層)を媒介する構造として「Beral Layer(ベラル層)」を提示し、クオリアが生成される過程を不可逆な三段階モデルとして定式化している。これは、AIがなぜ構造的にクオリアの「所有」を持ちえないのかという問いにも理論的な接続を持つ研究である(ORCID: 0009-0002-1422-1560)。
■ 理論から実証へ:脳波計測による検証研究
粟田は理論研究と並行して、非二元的観察装置に関する特許を出願するとともに、「構えLibet課題」と呼ぶ自由意志実験プロトコルをZenodoで公開した(DOI:10.5281/zenodo.20116370)。
現在準備を進めているのは、簡易脳波計(Muse2・Emotiv)を用いた実験で、被験者を「主体的に行為する条件(Agentic)」「中立条件(Neutral)」「行為をゆだねる条件(Surrender)」の3条件下に置き、所有感が確定する直前の神経・行動パターンを可視化することを目指す、いわば「構えLibet課題」である。
その足がかりとして、フロー(ゾーン)状態が主体感(sense of agency)と所有感(sense of ownership)の乖離を露出するという仮説を扱う論文をJxivへの投稿に向けて準備中で、これは構えLibet課題へとつながる理論的なステップと位置づけている。
■ 研究者について
粟田は、自ら設立した整合ダイナミクス研究所(個人研究プロジェクト)を拠点に、所属機関を持たない独立研究者として活動している。海外でのバックパッカー経験や事業運営、特許出願など多様な実務経験を経て、現在は哲学的探究と実証研究を架橋する立場から、意識・クオリア・自由意志をテーマとした研究を継続している。
現在はフルタイム勤務と並行して研究を続けており、本人は研究と日常を切り離して考えていない。職場で生じる役割や立場の変化、肩書によって変わる自己認識や所有感の揺らぎそのものを、主体感や所有感の形成過程を観察するフィールドとして捉えている。
■ 今後の展開
今後は、Muse2を用いた単独でのパイロット観察を皮切りに、より大規模な脳波実験へと段階的に発展させる計画で、その実施に向けた資金調達(クラウドファンディング等)の可能性を検討している。あわせて、本テーマに関心を持つ研究者・エンジニアとの共同研究も広く募集している。
【組織概要】
名称:整合ダイナミクス研究所(個人研究プロジェクト)
代表:粟田正志(Masashi Awata)
所在地:愛知県常滑市
業務内容:AI・意識・自由意志に関する独立研究活動。クオリア、所有感、主体感の成立条件に関する理論研究および実験研究。学術論文執筆、研究レポート公開、AIアプリ開発、情報発信活動を行う。
ORCID:0009-0002-1422-1560
関連DOI:10.1063/5.0325944(AIP Advances掲載論文)/10.5281/zenodo.20116370(実験プロトコル)
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