■2030年の原発比率をどうする?
2012年8月13日、政府は2030年の
原発発電比率の3つの選択を示した意見公募が
8万件を超えたことを発表した。
政府の意見公募では異例の数であり、
原発問題に関する関心の高さを示す結果となった。
意見公募は7月2日から8月12日まで実施されていた。
■3つの選択肢は?
提示された3つの選択肢は「
ゼロシナリオ」、「
15シナリオ」、「
20~30シナリオ」となっている。
2010年の状況は原子力発電が26%、化石燃料発電が63%、再生可能エネルギーが10%になっている。
この比率を2030年にどのようにするかということである。それぞれのシナリオは以下のように説明されている。
ゼロシナリオ2030年までのなるべく早期に原発比率ゼロに。核燃料サイクル政策に関して、使用済核燃料を直接処分する政策を採用。
最終的には再生可能エネルギーと化石燃料からなるエネルギー構成に。
化石燃料の依存度を極力下げ、他のシナリオとそん色のないレベルまでCO2の排出量を低減するため、省エネ性能の劣る製品の販売制限・禁止を含む厳しい規制を広範な分野に課し、経済的負担が重くなってでも、相当高水準の再生可能エネルギー、省エネ、ガスシフトを実施。
15シナリオ原発依存度を着実に下げ2030年に15%程度としつつ、化石燃料依存度の低減、CO2削減の要請を円滑に実現する。
核燃料サイクル政策については再処理・直接処分がありうる。
原子力、再生可能エネルギー、化石燃料を組み合わせて活用し、エネルギー情勢や地球環境を巡る国際情勢、技術革新の変化など様々な環境の変化に対し柔軟に対応する。
20~30シナリオ緩やかに原発依存度を低減しながら、一定程度維持し2030年の原発比率を20~25%程度とする。原子力発電の新設、更新が必要となる。
核燃料サイクル政策については、再処理・直接処分がありうる。
化石燃料依存度の低減とCO2排出量の削減を、より経済的に進める。
原子力及び原子力行政に対する国民の強固な信認が前提となる。
ゼロシナリオは完全に原発依存をゼロにするものだ。その分を再生可能エネルギーと化石燃料で補てんしていくが、化石燃料には温室化の問題がある。そのため、再生可能エネルギーへシフトしていくことを目指すものだ。
コストや再生エネルギーに関する高い技術力が必要となる。また、ここには書かれていないが「原発ムラ」の抵抗は必至だろう。
「
ゼロシナリオ」の対極にあるのが「
20~30シナリオ」だ。現状の原発依存度は現状維持。全体の発電力が増えることがあれば、原発も増えることになる。
ただ、2030年の日本の産業構造や経済情勢がどうなっているのか予測が難しいため、なんとも言い切れない。
おそらく「
20~30シナリオ」としてはこのシナリオを進めていくことを狙っていくだろう。このシナリオであれば、既得権益は守れる。
国民から寄せられた8万の声がどうなっているのか、今後の専門家会合の中で明らかになっていくだろう。
【
naka773】
2030年に向けて − 話そう"エネルギーと環境のみらい"
http://www.sentakushi.go.jp/intro/