■原発作業の異常な現場
2012年7月26日、
福島第一原発事故の収束作業に従事した45歳の男性が職業安定法と労働者派遣法に違反する「
多重派遣」を東京労働局に訴えた。
27日には約束された賃金が支払われなかったとする「
ピンハネ」の問題についても訴えを行う方針だという。
image from
Amazon東京電力を頂点とする何重もの下請け構造の中で、現場作業員の賃金はピンハネされている状況が告発されたことになる。
男性は一ヶ月の作業で13・3ミリシーベルトを被ばく。作業員の年間被ばく上限は20ミリシーベルトである。どれだけ、高濃度汚染の場で働いていたが分かる。
このような危険な作業をしながら、男性に支払われたのは多重下請構造の中、ピンハネを繰り返され、
1日1万数千円にしかなっていない。
街中でティッシュを配っていた方がずっとマシだ。
■特権階級・東電社員と言う批判
このような厳しい現場の状況は今も続いており、この男性だけがこのような状況に置かれたわけではないだろう。
そして、「
週刊朝日」2012年8月3日号では『
「気が狂いそう」な原発作業現場 冷たい水を飲めるのは東電社員だけ』とする記事が掲載された。
これは、東電社員だけが冷蔵庫を運び込み冷たい水を独占し、現場作業員は、生ぬるい水で我慢するという「
特権階級・東電社員」を批判したものである。
この問題も結局、多重派遣、下請け問題に帰結するのである。
東電とすれば、作業員は自社が直接雇った人たちではなく、その待遇改善は、直接雇った会社にあるという説明も出来るのだ。
普通の建設現場でも、このようなことはある。
この問題は「週刊朝日」の記事で批判している東電の会社としての姿勢というよりも、もっと大きな原発作業全体の多重下請け構造が根っこにあるのではないかと思われる。
ただし、下請けに丸投げし、後の管理は知りませんという東電の姿勢は十分に批判の対象になると思う。
福島第一原発事故の一番の当事者は東京電力なのである。
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naka773】
東京電力ホームページ
http://www.tepco.co.jp/index-j.html週刊朝日EX DIGITAL
http://www.wa-dan.com/article/2012/07/post-951.php