ジャスト創業者が新たに「MetaMoJi」を設立、目指すものは？

ジャストシステム（以下JUST）創業者の浮川夫妻が、昨年10月29日に同社を退社し、翌30日付けで新会社「MetaMoji」を設立した。
09年4月のキーエンスの資本参加から、わずか半年後だった。

もともと 1979年に JUST を自ら創業し、営業の中心は和宣氏、開発の中心は初子氏が務めることで、これまで「一太郎」「ATOK」など、たくさんのソフトを開発・普及させてきた。（参考：JUST の創業経緯）
なのに、今なぜそのJUST に見切りをつけたのだろうか。

JUST は、2006年からXMLアプリソリューション「xfy」に投資し、北米など海外にも進出して、経営の柱に育てようとしたが、市場は想定したように拡大せず苦戦。06年以降は4期連続で連結営業赤字を計上していた。
このタイミングで、ソフト技術を求めていたキーエンスの資本参加を受け、今度は創業者が抜けるという。いわば身売りした形だ。

浮川夫妻が共同で設立した「MetaMoJi」は、資本金1000万円で全額夫妻の出資である。和宣氏が社長、初子氏が専務を務め、社員16人全員がジャストシステム出身で、ほとんどが技術者というから、正に開発陣を引き連れての離脱だ。

そして、JUST から譲り受けた XML 関連などの新技術の研究開発や、技術をベースにした新サービスの開発などを行い、事業化の見通しが立った場合には外部からの出資も募る、テクノロジーに重点を置いたインキュベーション会社を目指す方針という。

和宣社長は「30歳になる前に JUST を創業したが、いつの間にか60歳になっていた。これからできることを考え、ジャストシステムの仕事とは違った切り口でゼロからやろうと決意した」と話す。

また、「アイデアがたくさんあり、ITを使えばこんなことができるのに、と常々考えてきた。今、実現されているサービスは、ITの可能性のほんの一部に過ぎない。『あの時あの人があれを作ってくれて助かった』と思ってもらえるサービスを作り、多くの人に喜んでもらい、社会をより良くしたい」とも言う。

また初子専務は、「プログラムの知識がなくても、ブログを書くように簡単にアプリケーションを開発できる環境の構築も目指す。例えば、ダイエット本の筆者が自らダイエットアプリを構築したり、ビジネス本の筆者がそのノウハウを生かしたビジネスアプリを作る――といったことができるようにし、知識を後世に残すことに貢献したい」と話す。

なお社長は、進捗度合いを定期報告するそうだ。